第三話:業平工場 印刷部オペレーター/Aさんに聞く
田中:こんにちわ。お仕事中お邪魔します。あの、マル得冊子パック印刷で注文した田中ですけど、いまいいですか?
Aさん:どうも、はじめまして。営業部から話は聞いています。ちょうどこの印刷機で田中さんの作品集を印刷します。
田中:え!さっきデータチェックしたばかりなのに?早いですね~。
Aさん:弊社ではデータチェック完了後、独自のフローを活用して、すぐに刷版の出力に入ります。そして、できた刷版を速やかに印刷機にかけるので、仕上がりまでの流れが早いんですよ。
田中:でも、忙しい時はさすがに大変なんじゃないですか?
Aさん:そうですね。過渡期はフル回転になります。でも弊社は工場を4つ都内に抱えておりますので、注文が重なって印刷が滞るようなことはあまりありません。
田中:営業の方にも伺ったのですが、どんな印刷物が多いんですか?
Aさん:本当に色々です。4つの工場に対し、それぞれ注文に合わせて振り分けています。例えば1色や2色のものなら木場工場に、色の転写しにくい特殊紙の印刷ならこの業平工場に。こうやって注文内容で振り分けてもいるので、個人で発注されるお客様から大きな企業広報誌、さらに同業になります印刷会社の下請けまで、幅広く承っておりますので印刷物は多種多様となります。
Aさん:いまから紙と刷版をセットして印刷に入りますね。
田中:すいません、先に質問ばかりしてしまって。
Aさん:大丈夫です。いま僕の代わりに優秀な若手スタッフがセットしてくれていたので。あ、セットできたみたいですね。少々お待ちください。あとはこちらで入力してと。さ、印刷物が出てきます。
Aさん:田中さんのデザインが印刷されてきました。どうぞ触ってみてください。
田中:触っても汚れませんか?
Aさん:大丈夫です。もう乾いてますから。
田中:え?もう乾いてるんですか?
Aさん:はい。この印刷機は転写と同時にLEDライトを発光させてインクを瞬間硬化させているので、通常の印刷と違い即乾です。そのことで時間が短縮されてるんですよ。いまお見せすることができませんが、印刷機の中で青色のLEDが実際に光ってます。
田中:えぇ~!面白いですね~。あ、そういえば営業の方にもお話聞いてました。特殊紙に転写することもできるって、もしかしてこの印刷機になるんですか?
Aさん:ご名答!このLED-UV印刷システムならコーティングされている特殊紙にもかすれを生じさせずに印刷ができるんです。
田中:う~ん、すごいなぁ。
Aさん:では、色調整しますね。ここからデータに基づいて田中さんが望んでいた色に仕上げていきます。
田中:あ、すいません!いつものクセで質問ばかりしてしまって(汗)。よろしくお願いします。
Aさん:こちらでどうでしょう?
田中:はい、問題ないです。というか、むしろ綺麗なので照れます(笑)。
Aさん:安心しました。ではこちらで進めさせていただきます。
田中:お仕事をしながらでいいので、もう少しお話を聞かせてもらってもいいですか?
Aさん:いいですよ。
田中:ありがとうございます。えっと、Aさんはここで1日どれくらいの印刷物を刷り上げてるんですか?
Aさん:ざっくりでいいですか?その日によって本当に違うんで、平均すると、ん~、そうですね、12~13万枚くらいですね。時間区切りでクライアントが変わります。
田中:すごい数字ですね~。かなり段取り良く進めないと大変そうですね。
Aさん:そうですね、段取りも必要ですけど、頂いているお客様の希望通りに仕上げたいので、データと印刷見本、それに見合う色合いを作りだすインク量の判断などにも気をつけます。スピード重視のスケジュールを組んでそれだけに特化しても、システマチックに仕事を進めて印刷の仕上がりが二の次になりそうじゃないですか。弊社は都内有数の工場を持つだけでなく、都内屈指のクオリティを刷り上げる印刷会社でありたいと考えてますので。
田中:先ほどの見本刷りも一発でイメージ通りでした。さすがです。
Aさん:製本までこの工場で行えるので、田中さんの印刷物がどのように1冊の本として仕上がるかこの後よろしければ見学していってください。専門の担当者につなぎます。
田中:ここで最後まで仕上がるんですね。こんな嬉しい社会見学は初めてです。宜しくお願いします。
次回
製本はどうやって行われるのか?編をお送りいたします!