第四話:業平工場 製本部オペレーター/Nさんに聞く


田中:こんにちわ。お仕事中お邪魔します。先ほど僕の注文したものが印刷されてきたと思うのですが…。

Nさん:はじめまして。田中さんですね。宜しくお願いします。印刷あがってきてますよ。

田中:おお、印刷が仕上がるまでご飯食べにいっていたんですが、もうセットされているじゃないですか。

Nさん:田中さんのは表紙込みの32ページで共紙(中面の紙と表紙が同じ紙のこと)なのと部数がそれほど多くないので早いですね。何よりLED印刷なので乾き時間もなしですから。

田中:やっぱりLED印刷ってすごいですね。普通ならこうはいかないですもんね。

Nさん:そうですね。印刷が乾いてからじゃないと断裁・折り加工できませんから。

田中:いまここにセットされているのは両面印刷された紙のままですが。それとさっき見た紙の半分になってます?

Nさん:さすがですね。ここでは平らの紙を本の冊子になるように自動で折るんですが、見ててください。

田中:おお、真っ平らだった紙が一瞬で四つ折りになって出てくる!

Nさん:田中さんの紙は厚めなので先ほどのサイズのままだと折ったときに歪みがでちゃうんですね。なので半分にして四つ折りで8ページ分の冊子ができるようにしたんです。

田中:8ページ?

Nさん:えっと、その折り上がった紙でつながったままですが1ページずつ見てください。両面に8つページ分のページがレイアウトされていますね。

田中:あ、本当だ。なってます。

Nさん:それを面付けといいます。広げたままだと上下が逆になったりしてますが、四つ折りになると天地もあって8ページ分の冊子になります。これで1折分完成です。田中さんの冊子は32ページなのでこの折りが4つ出来上がる仕組みになります。薄い紙なら両面合わせて16ページの「1折分」を作ることができます。

田中:ということは、8ページなら1枚の紙を2回折る、16ページなら3回折るってことですね。

Nさん:正解です。だいたいはわかってたんですね。

田中:一応はデザイナーなんで(汗)でもこの折る作業は初めて見ました。早いんですね~。

Nさん:いまはお話しながらですけど、実際はもっと早いですよ。

田中:わかります。だって、お話を聞きながらもう全部折り終わって次の準備が整っているじゃないですか。3分クッキングみたいだ!

Nさん:次の工程に入りますね。ここが中綴じ冊子の最終ラインになります。

田中:綴じ方によって使うラインは変わるんですか?

Nさん:もちろんです。弊社の業平工場では中綴じ、無線綴じそれぞれの複数ラインがあり、仕様に合わせてラインを決めています。(製本の仕方について

田中:いま仕上がったばかりの四つ折を1折りずつを乗せていってますが…。

Nさん:ここではセットしたものが右から順に1部ずつ下のベルトコンベアーに落ちて、左に移動するだけで32ページ分の重なった冊子ができあがります。これを丁合といいます。

田中:ここまでオートマティックなんですね。

Nさん:丁合したものを大きなホッチキスみたいなもので留めて1冊ができます。そしてこちらのレールに移動して仕上りサイズに断裁して完成となります。

田中:えー!断裁まで一気にいくんですか?

Nさん:部数も少ないのであっというまですよ。

田中:ちょ、ちょっと待ってください。あのランプはなんですか?

Nさん:あれは落丁が発生した場合に点灯します。このシステム、折りごとに監視カメラがセッティングされているんですよ。なので丁合がうまくいかない時はすぐにストップさせます。では、いきますよ。

田中:はい、お願いします。

Nさん:こちらを見ててください。断裁されて、本となって出てきます。いったん止めますね。サイズの確認、問題ないですか?

田中:わ、もうできてるじゃないですか!計りました。入稿データと間違いないサイズになってます。

Nさん:ではこのまま仕上げますね。

田中:宜しくお願いします。それにしても本当に早い。

Nさん:ありがとうございます。ここが最後の関門ですからね。早さだけでなく、本当に間違いがないか、入念にチェックしてます。いまからラインをスタートさせますね。向こうから1部ずつ折りがベルトコンベアに乗って冊子の形になり、留められ断裁、そして完成としてここにでてきます。

田中:おお、これは本当に早い。エラーランプもつかないし、すごいな。

Nさん:機械のオートマティックだけでなく熟練されたスタッフの技術が組み合わさってできる製本工程だと思っています。弊社は納品後クレームがゼロだった0クレームの更新を随時更新していくことで士気を高めています。

田中:これだけのスタッフの動きと働きぶり、それと丁寧な仕事を見ていると納得です!

Nさん:はい。できました。こちらが田中さんのポートフォリオになります。

田中:本当にありがとうございます!まさかできたてホヤホヤをもらえるなんて、夢のようです!

Nさん:取材なので特別ですが、一般のお客様のデータがこのように仕上がっていくと感じてもらえたら、こちらも嬉しいですね。ありがとうございました。

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